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日本通訳協会が主催する通訳技能検定試験(略称「通検」)は英語と日本語の間の通訳能力を証明する検定試験として1973年春に創設されました。それから2006年秋までの34年間に年2回ずつ、計68回の検定試験を行い、通算129,544名の受験者を得て、38,304名の合格者(各級の合計)を出しています。初級者には勉強の指針、中級者には就職への活用、そして上級者には通訳者としての能力証明として、日本で唯一の「通訳資格の検定」として知られています。
近年、ビジネスや文化の分野において、日中両国間の人的交流が驚くほど盛んになってきています。こうした背景の中で、中国側と日本側双方の学習者、教員、そしてビジネス界の人々からの強い要望の下に、中国と日本の合同試験(国際試験)として新しく誕生したのが「中日通検」です。2005年・2006年の春、秋の計4回の試験で合計1,136名の受験者を得て、616名の合格者(ビジネスコミュニケーション試験・各級の合計)を出しています。
ビジネスの現場で円滑なコミュニケーションは不可欠です。コミュニケーションとは単に言葉を伝え合うことではありません。特に日中間のビジネスで、中国人と日本人は言葉だけではなく、商習慣、ものの考え方も大きく異なります。日本方式は中国では通用しません。また中国方式は日本では敬遠されます。初期の中国進出で、日本企業はこの点で苦い経験をしました。また日本企業で働く多くの中国人は、現在、日常的に日本人幹部との間でトラブルを抱えることがしばしばあります。言葉の問題に加えて、考え方や行動上の行き違いが両者の間に多くあるからです。
しかし、日本人と中国人は、互いにもっと理解をし、パートナーシップを組まざるをえない存在にますますなってきています。
「中日通検」は、日中間のより良いビジネスと交流の進展のために、コミュニケーションとしての語学能力や異文化理解度を検定する「国際試験」です。日本人、中国人を問わず、実務に役立つビジネスコミュニケーション能力を証明する資格試験です。「中日通検」で証明された能力を、就職に、そして日中ビジネスの現場に活用し、日中間の架け橋となる人材が多く育ってほしいと願います。
日本通訳協会 |
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